2021年1月29日

トランプ政権の置き土産『ジェノサイド認定』

 

最先端のソーシャルネットワークサービス【ツイッター】を使いこなし、

強烈な個性でそれまでの慣例をひっくり返し、

いけすかないリムジン・リベラルたちの矛盾を剥き出しにさせて、

最後には自身がSNSで火をつけた強烈な信者が暴走して議会に突入してしまって、

アカウントを炎上させながらアメリカ国民にファイヤード(クビ)されてしまったドナルド・トランプ前大統領。

 

彼の去り際は、GAFAに嫌われツイアカを剥奪され主張する機会を奪われて、ネット決済サービスも利用停止されて、支持者からのオンライン経由の寄付金が受け取れなくなり干上がってしまうなど散々な敗走になってしまいました。

超リッチなホテル王にして世界最強アメリカ合衆国大統領であっても、イケてるIT企業たちを敵に回したら何もできないという強烈な事実に衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか?

 

しかしトランプ大統領もただで沈んだわけではありません。

 

選挙で負けてホワイトハウスから追い出されることが確定したその日から、自分の再起のために大統領権限でいくつもの布石を打ちました。

そのひとつが今回の記事のタイトルでもある『中国のウイグル族に対するジェノサイド(民族大量虐殺)認定』です。

 

 

 

バイデンが対応を考える時間がない就任直前で行われた演説

演説をしたのはトランプ政権の国務長官ポンペオ。

演説が行われたのはバイデン新大統領が誕生するたった3時間前でした。

 

 

演説の内容

「現在判明している事実を慎重に検討した結果、中華人民共和国は少なくとも2017年3月以降、中国新疆ウイグル自治区で中国共産党の指導・統制の下、イスラム教徒が大部分を占めるウイグル族やその他の民族・宗教的少数集団に対する人道に対する罪を犯したと、私は判断した」

「こうした犯罪は現在進行中のもので、100万人以上の一般市民の独断的な拘束など身体の自由の厳しい剥奪や不妊手術の強制、独断的に拘束されている多くの人々の拷問、強制労働、宗教や信仰の自由、表現の自由、移動の自由に対する厳格な規制実施などがある」

「第2次世界大戦後のニュルンベルク裁判では、犯人らが人道に対する罪で訴追された。これは、新疆ウイグル自治区で現在行われているものと同じ犯罪だ」

ポンペオはさらに次のように続けた。

「私はこのジェノサイドが現在進行中であり、ウイグル族が中国の共産党国家によって組織的に破壊されている場面を私たちが目撃していると考えている。経済的・軍事的・政治的に見て世界で2番目に強力な国の政府が、自らを世界のリーダーとして主張し、国際制度を自らのイメージに合わせて作り変えようとしている中でさえ、弱い立場にある民族・宗教的少数派の強制的な同化と、やがて起きるだろう抹消に関わっていることは明白だ」

 

 

ニュルンベルク裁判とは、第二次世界大戦後にあのナチスドイツの戦争犯罪を裁いた軍事法廷裁判です。

つまり、ポンペオは中国をナチス呼ばわりしたわけです。

欧米ではナチスドイツは日本で使われているよりもはるかに重い意味があります。ポンペイオがこの言葉を選んだところにトランプ政権の本気度が見えます。

ではウイグル自治区では実際どんなことが行われていたのでしょうか?

 

 

中国が抱えるウイグル人問題

新疆ウイグル自治区は、中国の領土の左上にあります。

新疆(しんきょう)とは新しい領地という意味。1758年ごろに清王朝がウイグルの支配を確立しました。

ここに住むウイグル人は一般的に思い浮かべる中国人とは違い、彫りが深くイスラム教を信仰しています。

これまで2回ほど中国からの独立を図り、一時期は『東トルキスタン』という名前だったこともあります。

現在も独立運動が盛んで、そこにイスラム原理主義が混ざってしまい、過激なテロリストグループがいくつか存在しています。

 

中国がウイグルを支配する動機は大きく三つあります。

 

ひとつは過激なテロリストグループが複数存在すること

ふたつめはウイグルを通れば中国が海上貿易をするときに、細くて複雑な地形のために通るのが難しいマラッカ海峡を通らずに、親中国なパキスタンのグワダル港から安全にインド洋にアクセスできること

みっつめはここには大量の油田、天然ガス、石炭の鉱脈があるということです。

 

上海より南の天然ガス需要はウイグルから伸びているガスパイプによって供給されています。外国から仕入れたガスもこのパイプを使って運ばれています。

中国は絶対にここを独立なんてさせたくないです。

しかしそもそも中国の大半を占める漢民族とウイグル人では人種も文化も違います。

ウイグル人の中には心情的には漢民族よりもイスラムテロ組織に親しみを覚えている人も多いと考えられます。

中国にとってはテロリストでも、ウイグル人にとってはレジスタンスに感じられるのかもしれません。。

なので中国はウイグルを武力や分断によって支配するしかないんです。

 

 

実際にウイグルを支配するために何が行われているのか。

2019年にアメリカのニューヨークタイムズ紙が入手した内部文書によると、中国政府は「職業訓練をする」という名目で各地に存在する施設に強制収容したウイグル人たち100万人超に、外部の通信から遮断した上で徹底した思想教育を行なっているのだそうです。

 

アプリを活用した信用スコアシステムを活用して強制収容所を管理しているあたりが最近の中国らしいですね!

 

ニューヨークタイムズに中国政府高官からリークされた内部文書は現在ネット公開中。

中国の高官がなぜ自分の国に損な情報をリークするかというと、どうやら権力をめぐる派閥争いのようです。

過密した施設に貧しい食事、苛烈な強制労働に看守の暴力。さらには映画みたいな話なので現実味はないのですが、『民族浄化』といって外科的な処置などによってウイグル人の子供を作る能力を奪っているのだそうです。

 

ツイッターでちょっと前にバズった、ウイグル人が中国にどう扱われたかのマンガ

運のいい女性はひとりっ子政策で余ってしまった漢民族の男の人のところにお嫁さんに行くだけですんでいるそうです。よかったですね。

 

あとはカツラを作るために髪の毛を剃られたりとかです。

ウソみたいな話ですが、アメリカの税関で現物が押収されました。

 

 

なぜウイグル人問題を追求することがバイデン大統領への嫌がらせになるの?

ここまでで中国がウイグル人にひどいことをしているらしいということは分かっていただけたでしょうか?

でも不思議ではないですか?

中国がどれだけ非人道的蛮行を行なったとしても、それがバイデンさんとなんの関係があるっていうんでしょうか?

 

バイデン政権の爆弾『ハンター・バイデン』

ジョー・バイデン大統領の息子は優秀だったといいます。

息子のボー・バイデンはアメリカ陸軍で将校として活躍したイラク戦争の英雄。

除隊後はデラウェア州の司法長官として『性犯罪者登録システム』の強化などに携わるなど、政治家としてジョー・バイデンの跡を継ぐにふさわしい経歴と振る舞いだったようです。

しかしながら2015年に脳腫瘍によって亡くなってしまいます。ジョーは

 

「私の父はかつて、子育てが成功したことは子どもが自分を超えた時に分かると話していた。ボーはまさにその言葉通りの息子だった」

 

と息子を送り出しました。ひょっとして存命していたら、トランプと闘ったのはこのボー・バイデン氏だったのかもしれません。

 

ところで偉大な兄を持つと、弟にとっては辛いものですよね。

光が強いほどに影は濃くなり自分の努力は埋もれてしまう。重圧に負けてぐれてしまうこともあるでしょう。

 

次男のハンター・バイデンが実際どう思っていたのかはわかりませんが、経歴はそんな感じです。

ジョージ大学で学士号を取得したあとにイェール大学のロースクール(全米ロースクールランキング1位の名門)を卒業。

頭がいいのは間違いないです。

 

しかし2006年に統一教会()設立メンバーの親族が立ち上げた怪しげなヘッジファンド会社を買収したり、

その後その会社で80億ドル(8000億円くらい)の超大型ネズミ講事件に関わったり、

 

オバマ政権(パパのジョー・バイデンは副大統領)のときにケリー国務長官の息子のクリストファー・ハインツといっしょにウクライナの天然ガス会社であるブリスマHDの役員に就任して毎月500万円を受け取ったり、

そのブリスマの汚職疑惑でウクライナ検察から捜査が始まると、たまたまかもしれませんがバイデン・パパが他の国の首相やIMFと一緒になってやってきてブリスマ社の捜査をしていたショーキン検事総長を解任させたり、

 

2013年からお兄さんと同じように軍隊に入りますが、一年後に薬物検査に引っかかって(コカイン陽性)クビになったり、

 

散々な経歴を歩んできました。

※アメリカでも日本でも政治家の息子が親のコネを使って他の国からお金をもらうことは違法ではありません。

 二人は家族ですが、別の人間だからです。

 トランプの息子も親の名前をビジネスに役立てていたのでどっちもどっちです。

 

ハンター・バイデンとウイグルの関係

2013年にパパ・バイデンはオバマ政権の副大統領として初の訪中。

その副大統領専用機【エアフォース・ツー】の機内には、軍隊をクビになったばかりのハンターの姿がありました。

そしてパパが習近平と会談している間に別の場所で会談を行い、一緒にやってきた他の政治家の御子息たちと中国企業の資金提供をうけてBHRパートナーズというファンドを設立しました。

 

このファンドが新疆ウイグル自治区の監視に使われている顔認識システムの会社に出資しているわけです。

 

こういう事情があるので、ウイグル問題について『ジェノサイド認定』することがバイデン大統領に対するネガティブ・キャンペーンになるわけです。

 

『ジェノサイド認定』に対する各所の反応

 

日本の反応

このアメリカの「ジェノサイド(大量虐殺)」認定について1月26日の自民党外交部会で外務省の担当者は

 

「日本として『ジェノサイド』とは認めていない」

 

との認識を示しました。

日本は中国と地理的に近いので、認めてしまうことが中国の更なる嫌がらせにつながることを警戒したためです。会議に参加した自民党議員からは「日本の姿勢は弱い」などの指摘が相次ぎました。

『力のない正義は無力』といった風情ですね。

【日本も】大量虐殺とは認めていない【認めるべき?】

 

中国の反応

 

韓国の反応

「今年は韓中両国にとって歴史的な意義のある1年であり、韓中関係は重要な進展を見た。韓国は経済貿易、文化、スポーツ、環境問題などの分野でさらに協力を進めたいと願っている」

「ウイグルの問題は中国の内政であると考えている」

「韓中両国は長きにわたる交流の歴史と相通じる文化的根源を有しており、両国は運命共同体だ」

 

韓国は日本よりも中国に近いので、政府はより中国に忖度(そんたく)した発言をしなければならなかったんですね。

韓国の国民はこの文在寅大統領の弱気な発言に怒っているようです。

 

バイデン政権の反応

トランプ政権のあとを継いだバイデン政権のブリンケン国務長官も中国政府に対する『ジェノサイド認定』には同意すると明言しました。

他の閣僚も皆賛同していて、この問題について中国と対決していく姿勢を明確にしています。

 

しかし完全に一つの意見に絞ってしまうと旗色が変わったときに方向転換できずにやばい方向にやばいとわかりつつ突き進むしかなくなってしまいます。

そこで注目したいのがバイデン新大統領が新しく指名した国連大使のリンダ・トーマス=グリーンフィールドさんです。

 

閣僚はみんな中国と対決する姿勢ですが、リンダさんはウイグル人弾圧について、

 

「残虐なことが起きており、実情を認識する必要がある」

 

と一度調べてみましょうよと言っています。

今後バイデン政権がウイグル問題につい方向転換するとすれば、リンダさんから始まる可能性は大きいです。

ぜひこの長い記事を最後まで読んでしまったみなさんもリンダさんに注目しておきましょう。

 

ウイグルの人たちが再教育施設から解放される流れになればいいですね。

 

この記事で語りきれなかった中国の“海亀族”と“泥亀族”の勢力争いや、ウイグルと同じような境遇にあるチベット自治区のことなど、これから気になる政治の問題を記事にしていくので、ぜひともこのサイトをよろしくお願いします。

地政学