2021年3月31日

日本人が催涙弾打ち込まれたミャンマーのクーデターってなぜ起きたの?

戦場カメラマンの渡部陽一さんも現地で取材を続けるミャンマーで起きたクーデターと反対デモをしている市民の衝突は深刻化していっています。
※クーデターとは軍事力を使って国のトップだけを入れ替えること

なんでクーデターが起きたの?

現在ミャンマーには大きな政治的勢力が二つあります。

ひとつはミン・アウン・フライン総司令官が率いるミャンマー国軍。

もう一つがアウン・サン・スー・チーさんがリーダーを務める国民民主連盟(NLD)です。

もともと長い間軍事政権でやってきたミャンマーですが、軍事政権を守りたい国軍と民主化したいNLDとで争ってきました。これまでにも何回もクーデターの起きている国ではあります。
しかし今回のクーデターはこれまでのクーデターとは性格が異なります。

なにが違うの?

これまでのクーデターは国軍の仲間割れから起きていました。

誰がトップになろうと国軍がミャンマーの最大権力であることは変わらなかったのです。しかし2019年に起きた選挙でNLD(民主化推進)派が大勝利を収めてしまったのです。しかも国会議席の8割をNLDがとってしまいました。

8割の議席をとれないとなにが問題なの?

ミャンマーでは2010年に『建国の父』アウンサン将軍の娘のアウン・サン・スー・チーさんがイギリスからミャンマーに帰ってきて大変な人気になっていました。

この人気を危険視した当時の軍事政権は、スー・チーさんが選挙で勝ったときのためにこの憲法をふたつ追加しました。

家族に外国人がいたら大統領になれない(スー・チーさんの夫は英国人)

・選挙での結果にかかわらず、議席の25%は必ず軍人出なければならない

このふたつの憲法をあらかじめ作っておいたおかげで2015年にNLDが選挙に勝ったあともミャンマーの国軍は権力を保つことができていました。

しかし2019年に行われた選挙でまたもNLDがなんと全体の80%(国軍の25%を抜いた中での8割)も得票し圧勝してしまったのです。

国軍側としては「このままでは憲法改正されてしまう! 早めに手を打たなくては…」ということで今回のクーデターが起こったわけです。実際は国会の4分の3の支持がないと憲法改正できないので、まだ足りません。

国軍側は一応の大義名分を

「NLDは今回の選挙で不正を行なった!だからアウン・サン・スー・チーを捕らえて不正のない状況でもう一度選挙を行う!!」

としています。

でもそのあとこれだけデモが起こるってことは、実際に国軍は国民からあんまり支持されてなかったってことだよね?

今後の日本への影響は?

上の地図を見て貰えばわかるように、中国とアフリカを繋ぐ航路はマラッカ海峡という狭い場所を通っています。もしもアメリカと中国が戦争になった場合、このマラッカ海峡をアメリカが塞ぐことで中国の補給路を寸断できます。

しかしミャンマーが親中国になった場合、中国はミャンマー経由で輸送が可能になるので南シナ海とインド洋の支配力を強めることになります。

中国の拡張主義を抑えたい日本としては、ミャンマーに親中国になってもらってはこれから困ることになってしまいます。

ただ国軍もこれまでは独自路線で中国と距離を置くスタンスだったこともあり、国軍が政権を担ったとしても必ずしもミャンマーが親中国になることを意味してはいません。

NDLと国軍のどちらが政権をとるにせよ、クーデター後の支援を日本が頑張ることが大事です。

現在国軍とNDLのどちらを応援するかについては人道の問題なので、日本としてはNDLを支援するほうがミャンマー国民のためにも良いことでしょうね。

地政学