2021年5月25日

社会にも四季がある!?アメリカのベストセラー“4thターニング”について

古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、国家の政治体制は次の3種類に分類できるだろうと考えました。

(1)君主制(ひとりの王様が支配)

(2)貴族制(少数の特権階級が支配)

(3)民主制(みんなで支配)

彼はこの3つのうちのどれが最良ということはなく、それぞれの利点と欠点を提示した後に、政治体制が堕落し国家がボロボロになったあとに何が起こるかについても、さらに思考を進めています。

「君主制は独裁制になりやすく、貴族制は寡頭制になりやすく、民主制は衆愚制になりやすい」

行き過ぎた独裁は無理な圧政となって怒った民衆の『革命』で打ち倒され、民主主義になり、

最初は真剣に国のことを考えている民衆も、平和が続くうちに面倒くさいことは全部政治家に押し付けて文句を言うだけの無責任な衆愚制になって、

政治家は貴族のように振る舞うけれども誰も責任を取らず、「このまま進んだら危ない!」と見えている問題に突っ込んでいくような機能不全に陥り、

国家がどうにも立ち行かなくなっているところに颯爽と英雄が現れて、圧倒的なカリスマと行動力で革命を起こして衆愚制を転覆させ、国家の実権を握ることに成功する。

そして、英雄とその一族とを頂点とする君主制が始まって…。

アリストテレスは、

どんな政治体制であろうと最良に保つ努力をせずに腐敗させれば、必ず『革命』が起こり、別の政治体制に移行するだろう…

と考えたわけですが、私たち人間の歴史を振り返るに、どれだけ努力しても政治体制って結局移り変わってしまっているように見受けられます。

今回のこのコラムでは、この政治体制の循環には実は、春、夏、秋、冬の四季にも似た移り変わりの法則性があるのではないか? 

と言う観点から書かれたアメリカのベストセラー『The 4th Turning』の紹介をします。

この『The 4th Turning』は、簡単に説明すると、

歴史ってだいたい80年で一周するよね?

という著者の立てた仮説を、実際のアメリカの歴史と照らし合わせて検証した本になります。

この本ではアメリカと照合していますが、日本の歴史に当て嵌めてみても成立しているようにも見えます。

本の中ではこの80年を20年ごとに区切って仮説を立てていきます。

なぜ20年で区切るのかというと、大体20年で世代が交代するからです。

人間の寿命はだいたい80年。

この80年を20年ごとに『幼少期』『成人期』『中年期』『老年期』と分けます。

幼少期成人期中年期老年期
0〜20歳21〜40歳41〜60歳61〜80歳

人間の人生を4つに分けたように時代も四季になぞらえて春、夏、秋、冬に分けます。どの季節に幼少期を過ごしたかで世代で共有する価値観が違ってきます。

冬の時代に破壊があって、新しい秩序を受け入れていくおおらかな時代
春に広まった価値観とそれまでの制度が衝突する変革の時代
夏に広まった価値観に疑問符がついて皆が落ち込んでいく衰退の時代
これまでの社会秩序や価値観が役に立たなくなる大動乱の時代

この20年ひと世代が成人期、中年期と社会の重要なポストに就き、老年期に向けて社会的影響力を失いながらリタイアしていくわけです。

そしてこの本では、それぞれどの時代に幼年期を過ごしたかで世代を『英雄』『芸術家』『預言者』『遊牧民』の4つに分けています。

本作中ではアメリカの例が引き合いに出されていますが、これを日本に当て嵌めてみましょう。

1865-1884明治維新。江戸幕府が倒れ日本が近代国家へ変わっていく時代
1885-1904日清・日露戦争を経て日本は大国列強の仲間入り??
1905-1924大正恐慌と関東大震災。経済と天災のダブルパンチで日本はもうダメかも…
1925-1944第二次世界大戦に突入。世論とか外交の失敗とかで、勝てない相手と戦争することを避けられなかった。

日本の冬の時代といえば、第二次世界大戦で敗戦するまでですね。すると終戦してからが春の時代です。

1945-1964芸術家敗戦後の焼け野原からGHQの支配を受け入れて復興した時代
1965-1984預言者学生運動や左翼の流行など、若者が既存の仕組みを打ち壊そうとした時代(団塊世代)
1985-
2004
遊牧民バブルが崩壊、就職氷河期。経済が良くなる見通しが立たず、縮小する将来を予想していた時代(氷河期世代)
2005-2025英雄コロナ大流行、米中冷戦。秋の時代にはぼんやりとした不安だったものが、カタチある危機として表れてきている…(ゆとり世代)

もちろん人それぞれ性格は違うのですが、日本でよく世代論をする際に悪役に挙げられがちな団塊世代。

やたらエネルギッシュで頑張れば頑張れば頑張っただけ成功できた時代背景から、私たちにモーレツに働くことを求めてきたり、終身雇用でもないのに会社に忠誠を誓わせてきたりしますよね。

これは、若い時代の経験が団塊の世代共通の価値観となっていて、その世代が現在、社会の主要なポストに就いているから影響力がある…

って見做せますよね。

こうやって20年ごと4つの世代80年で、なんか分かんないけど価値観が一周しているし、なんかわかんないけど80年周期でとんでもない危機がやってきてるよね!

というのが、今回紹介した『4thターニング』の世代論です。

本を読んだら、じゃあなんで一周してしまうのか、なぜ危機が来てしまうのかについてしっかり考証されています。

とっても面白い本だし、ひとつのモノの見方として自分の中にインストールしてみてもいいんじゃないでしょうか?

しかしこの本に書かれている見方が正しいなら、冬って2025年くらいまで続くんですね…

凍えてしまいます…

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