2021年7月16日

西村大臣の≪働きかけ≫失言を擁護してみる

東京都への4度目の緊急事態宣言で、西村康稔経済再生大臣は新型コロナ対策の休業要請などに応じない飲食店に対し「金融機関から働きかけを行っていただく」と発言したことで大炎上しました。

この西村大臣の発言自体は擁護される点などないのですが、政治家がこういうムーブを取りがちな点に関しては、私たち国民のせいじゃないかと思い当たる点もあるので、今回のコラムでは西村大臣を擁護することに挑戦してみます。

西村大臣の『働きかけ』発言の問題点

 酒類を提供する飲食店への休業要請などをめぐり、金融機関に融資先の店への働きかけを求めるとの政府方針について、西村康稔経済再生相は11日夜、ツイッターで改めて撤回を表明したうえで、「趣旨を十分に伝えられず反省しております」と投稿した。自ら打ち出した新型コロナ対策の一環だったが、与野党や飲食業界から激しい批判を浴びていた。  西村氏は、政府が東京に4度目の緊急事態宣言を出すと決めた8日夜の会見で、要請に応じない店について「金融機関としっかり情報共有しながら、順守を働きかけていく」と表明。しかし、飲食業界や与野党から「金融機関の優越的地位の乱用だ」などの批判が噴出した。  西村氏は「融資を制限する趣旨ではない」などと弁明したが、9日に撤回に追い込まれた。

朝日新聞『西村大臣投稿「趣旨伝えられず反省」 金融機関働きかけ』より引用
https://www.asahi.com/articles/ASP7D62CYP7DUTFK02G.html

この西村大臣の発言の問題は、飲食店への休業『要請』なのにも関わらず、金融機関から働きかけさせるという実質的な『罰則』を匂わせてしまった点にあります。

当たり前なんですが、『要請』とは『お願い』のことです。

『お願い』ということは、

「強制することはできないんだけど、状況を悪化させないためにどうか頼みます」

ということです。

政府「強制することはできないんだけど、守らないと金融機関に圧力をかけてキミたち(飲食店)にお金を貸さないようにさせるよ!!」

と言ったのでは、これは『お願い』ではなく、法的根拠のない『命令』になります。

実質命令なのに、建前上は『お願い』だから、政府は責任を取る必要はありません。卑怯な方法なのですが、政治家の立場で考えるならば大変合理的な判断だといえます。

リスクを取っても得るもののない『コトナカレ主義』日本社会

本来であれば法的根拠をしっかり整備して、違反者に罰則、法を守った人には補償を与えるのが法治国家の政治家の仕事なのですが、どんな理由であれ、現在、日本で国民の行動を制限した日には

私権制限でドクサイへの道を拓いた悪魔的政治家ッ!!

として日本政治史に後世語り継がれる悪名をたまわってしまいます。

国民のためを思って法治国家としての筋を通したとしても、その国民から一斉に石を投げられるかもしれないわけです。

これでは到底やる気が起きませんよね?

多少卑劣でも『命令』はせずに『お願い』ベースで行ったほうが政治家にとって安全なんです。

実際、大阪府のコロナ対策では、自粛『要請』にもかかわらず、コロナ対策のできていない飲食店は『店名を公表される』という罰則がありましたよね?

大阪府全域に「時短要請」決定 吉村知事「店名公表は罰則のために存在しているわけではない」https://news.yahoo.co.jp/articles/2ff1bf236aebff630be29a4313bdde71ecea3387?page=1

日本では、政治家も国民もできるだけリスクを背負わずに何となく『空気』でモノゴトを進めていこうとしがちです。

リスクを取って成功しても得るものがない割に、一度のミスだって許されてはいないのだから当然です。

政治家が政治家みたいな回りくどい話し方をするのは、
国民が政治家を減点方式で評価していることに政治家が適応した結果です。

結論

若者が管理職になりたがらないのと政治家がリスクを取って判断したがらないことは根が同じ問題です。

リスクとリターンが見合っていないのです。

オリンピックが結局グダグダしたまま判断が先延ばしにされて、結局誰もなんにも決めないまま、突然ゼロリスクの無観客開催が決定されたのも同じですよね。

イギリスやアメリカでは何万人も観客を入れてのイベントが開催されているのにです。

観客を入れることの是非については各個人ごとに意見が分かれるでしょうが、注目して欲しいのは、無観客決定までのプロセスです。

公で大した話し合いが行われるわけでもなく、国民に意思が問われることもなく、突然決定しましたよね。

まるで時間切れで仕方なく一番の消極策を選んだように見えます。先送りしてタイムリミットが来たから無難な選択をしたんです。

私たちの閉塞した日本をカイゼンするためには、リスクを取る決断をした人に石を投げないように、私たち自身のメンタリティが変わる必要があります。

だから西村大臣を非難して辞任させても仕方ありません。

個人の資質の問題じゃないんですから。

次にどこが与党になっても、誰が大臣になっても、似たような問題が起きます。

私たちでこの問題を解決するためにも、リスクを取った人を見かけたら、積極的に褒めていくようにしていきましょう!

(リスクを取って決断できるなんて)
えらいッ!!

菅政権の記事コロナウイルス